XMの両建て徹底解説|ルール・禁止行為・安全な使い方まで

FX取引をしていると「両建て」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。買いと売り、両方のポジションを同時に保有することでリスクをコントロールしようとする考え方ですが、実際のところ、その取り扱いは業者によってまちまちです。なかには完全禁止のところもあれば、条件付きで認めている業者もあります。

そんな中、XMTrading(以下XM)は「同一口座内での両建てを公式に認めている」数少ない海外FX業者の一つとして知られています。

しかし、「XMは両建てOKらしい」と安易に考えて取引を始めると、後々思わぬペナルティを受けるリスクがあるのも事実。実際、XMには明確に禁止されている両建て行為がいくつか存在し、それを知らずに取引した結果、口座凍結や利益没収に至ったトレーダーの例も報告されています。

この記事では、XMの両建てに関するルールや実際の運用事情、そして安全に活用するためのポイントまで、事実ベースで詳しく解説していきます。

両建てとは?メリット・デメリットをざっくり整理

両建てとは、同じ通貨ペアで「買い」と「売り」を同時に保有する取引手法です。たとえばEUR/USDを1ロット「買い」、同時に1ロット「売り」といった形で、ポジションを相殺することで一時的にリスクをコントロールしようとする考え方です。

初心者のうちは混乱しやすい仕組みではありますが、うまく使えば柔軟なポジション操作が可能になります。ここでは両建てのメリットとデメリットを、実際の利用者目線で整理してみましょう。

メリット|両建てが役立つと感じる場面
①含み益や含み損を確定せずに維持できる

利確・損切りのタイミングに迷ったとき、一時的に逆ポジションを持つことで「保留」状態にできるのは精神的にも有効です。

②相場の急変時に備えたリスク分散ができる

トレンドが読みにくいときや、指標発表後の乱高下に備える際、両建ては「時間を稼ぐ選択肢」として使われます。

③建玉の調整や分割決済に便利

反対ポジションを加えることで、全体の平均取得価格を調整したり、一部決済で出口を柔らかくする戦術が取りやすくなります。

④XMでは同一口座内なら証拠金ゼロで維持可能

ロット数が同じ場合、片方の建玉にだけ証拠金がかかる仕組みのため、資金効率の面でも一定の優位性があります。

デメリット|使い方を間違えると逆効果に
①スプレッドやスワップの負担が倍になる

両方のポジションで手数料やスワップが発生するため、長期保有すればするほどじわじわとコストが増えます。

②実質的な損益状況が見えにくくなる

プラスとマイナスが同時に動くため、純粋な損益を把握しづらくなり、トレード判断が鈍る可能性があります。

③判断ミスや誤操作による損失拡大のリスク

間違って両方を決済してしまう、片側だけ残して損失が増えるなど、操作が煩雑になるぶんミスも起きやすくなります。

④目的のない「逃げの両建て」は逆効果

損切りできずに「とりあえず両建てしておこう」という使い方をすると、結局含み損を放置するだけになりやすいです。

XMが両建てを「原則許可」している理由と条件

XMでは、同一口座内における両建ては完全に許可されています。たとえば、1つのスタンダード口座内でUSD/JPYの「買い」と「売り」ポジションを同時に持っても、それ自体に違反性はありません。

さらに、買いと売りのロット数が同一であれば、必要証拠金は実質ゼロと見なされるため、証拠金維持率やロスカット水準に与える影響も限定的になります。

他社ではなぜ禁止されているのに、XMはOK?

両建ては、ユーザーによっては「システムを悪用する目的」で使われることがあり、特にボーナス制度が絡む業者では全面的に禁止しているケースもあります。

その中でXMが両建てを原則許可しているのは、

  • ロジック上の不正さえなければ正当な取引と見なす方針
  • 初心者から上級者まで柔軟な戦略を認める「自由度の高さ」
  • システム的にも安定しており、内部監視体制があるため過剰規制をしない

という、ある種「ユーザー信頼型」の運営スタイルがあるからだと考えられます。

ただし「何でも許可」ではない

XMはあくまで「同一口座内の両建て」しか認めておらず、複数口座を使った建玉や、他社を絡めた外部ヘッジなどは明確に禁止しています。

また、口座タイプによっても取り扱いが異なり、KIWAMI口座やゼロ口座ではロイヤルティポイントが付与されないため、両建て目的でのポイント獲得には向かないという制約もあります。

つまり、XMは両建てに寛容ではあるが、あくまで「条件付きの許可」であることを忘れてはいけません。

XMで絶対NGな両建てのパターンとは

XMの公式サポートが明言している通り、両建てが許可されているのは「同一口座内で同一銘柄を建てる場合」に限られています。以下に該当するような取引は、利用規約違反としてペナルティの対象になる可能性があります。

①複数口座を使った両建て

同じユーザーが保有する複数のXM口座を使って、片方で「買い」、もう片方で「売り」を持つ行為は明確に禁止されています。

②XM口座と他社口座を使った両建て

一見バレにくそうに思えるかもしれませんが、XMではこのような取引も監視対象です。特に不自然なタイミングでのポジション保有や利益の集中は、内部ログで検出される可能性があります。

③ボーナスやXMポイント目当ての建玉

ボーナスを受け取った直後に、意図的に両建てを繰り返して取引量だけを稼ぐ行為は、XM側では「システム悪用」と判断される可能性が高いです。これにより、ボーナス没収やXMPの無効化、最悪の場合はアカウント凍結が発生します。

④経済指標発表前後を利用したアービトラージ的両建て

米雇用統計やFOMCなどの大型指標前に「買い・売り」を建てて一方向に動いた側のみを決済することで、リスクゼロで利益を狙うといった手法は、過去にXMで問題視された事例があります。

これらの行為は「一見テクニカルに見えても、XMのルール上ではアウト」と明記されているため、実際にやってしまうと後から取り返しがつかない可能性があります。

実際にあったペナルティ事例と公式対応

両建てに関しては、XM側が「許可」と明言しているにもかかわらず、ルールを誤解したまま取引を行い、重大なペナルティを受けたユーザーも存在します。以下は、実際に報告されている代表的なペナルティ事例です。

ケース1:ボーナス目当ての両建て → 口座凍結

スタンダード口座で口座開設ボーナスを受け取ったあと、意図的に最小ロットで両建てを連日繰り返して取引量を稼ぎ、XMポイントや出金条件を満たそうとしたユーザーが、後日サポートから「ボーナス無効・口座凍結」の通知を受けたケース。

→ XMでは「通常の取引ではない両建て=システム悪用」と見なされやすく、たとえ損失を出していてもボーナスやポイントの剥奪対象となる。

ケース2:複数口座での両建て → 全利益取り消し

同一名義で開設された複数のXM口座で、片方にロング、もう片方にショートを保有しながら、意図的に建玉をずらしつつスワップ差やレート差を利用して利益を狙ったユーザーに対し、XMはすべての取引利益を取り消す対応を実施。

→ 本人は「両建て自体はOKだと思った」と弁明したが、「異なる口座を使った時点で明確に禁止行為」としてカウントされた。

ケース3:経済指標前後の両建て → ログ調査と資金凍結

米雇用統計や金利政策など重要指標発表前に、「一方向に大きく動くだろう」という前提で買いと売りを同時に建て、発表後に一方のみ決済し、残りは放置という取引を繰り返した結果、XMサーバー側で不自然な両建てのパターンとして検出され、ログ調査の上で出金制限が発生した。

→ 規約上、こうしたパターンは明記されていなくとも「アービトラージ目的と判断される場合は違反」となるリスクがある。

このように、表面的には「バレにくい」「うまくやれば得できそう」と思える行為であっても、XMは内部ログや取引パターンの解析を通じてルール違反を検出しています。

そして重要なのは、違反が発覚した時点で過去に遡って処分が適用されるという点です。つまり「今は大丈夫そうだからやっておく」は通用しません。

XMで両建てを活用する現実的な方法

ここまで紹介してきたように、XMでは「同一口座内の両建て」は明確に許可されています。ただし、禁止事項を正しく理解しないまま運用すると、重大なペナルティを受けるリスクがあるのも事実です。

では、具体的にどのような場面・方法であれば、XMのルール内で両建てをうまく活用できるのでしょうか?以下に、現実的かつ安全性の高い両建ての使い方を紹介します。

一時的な含み益の固定として使う

トレンドが継続するか不透明な局面で、すでに保有している含み益ポジションを決済するか迷うことがあります。そのような場合、一時的に反対ポジションを持っておくことで、利益を確定せずにリスクヘッジが可能です。

→ 例:買いポジションが含み益を出しているが、調整の動きが出そうなときに一時的に売りポジションを重ねる。

指標発表後の逆行リスクに備える

XMでは指標発表前後の両建てを利用したアービトラージは禁止されていますが、発表後に相場が荒れた場合に備えて、一時的に逆方向のポジションを持ってリスクを限定するのは有効な手段です。

→ ただし、あくまで「指標後の動きに対応する目的」であり、事前に仕込む形は避けるべきです。

ストップ狩りを回避する目的

相場が一時的に上下に振れる「ストップ狩り」に対して、ポジションを守るために反対ポジションを入れておくことで、意図せぬ損切りを回避できるケースがあります。

→ この場合も短期で決済する前提が望ましく、両建ての長期保有はスワップや混乱を招きやすいので注意が必要です。

エントリー分割・決済調整としての戦術的両建て

「どちらに動くか確信はないが、ポジションを少しずつ分けて建てていきたい」場合に、両建てを使ってエントリーや決済のタイミングを分散させることで、平均取得価格を調整する手法もあります。

→ これは中級者以上がよく用いるテクニックであり、しっかりとした全体戦略がある場合に有効です。

以上のように、XMにおける両建ては「一時的なヘッジ」や「調整のための分割運用」として使うことで、リスク管理や柔軟なポジション操作に役立ちます。

ただし、「なんとなく怖いからとりあえず両建てしておこう」「損切りしたくないから両建てして逃げる」といった使い方は、かえって損失を広げる原因にもなります。

両建てに向いている人・向いていない人

両建ては便利な手法である一方で、「誰が使っても効果が出る万能テクニック」ではありません。実際には、トレードスタイルや性格によって相性が大きく分かれます。

以下に、両建てが向いている人と、あまり向いていない人の特徴を整理しました。

向いている人
①ポジション全体を俯瞰して管理できる人

両建ては建玉が増えるため、全体のバランスやリスクを把握できる視点が不可欠です。

②冷静に相場を見られる中級者以上のトレーダー

一時的な上下に振り回されず、あくまで「戦略」として両建てを活用できる人は有利です。

③決済のタイミングを分けて考えられる人

利確や損切りの判断を一括で行うのではなく、複数のシナリオを想定して柔軟に動けるタイプに向いています。

④短期的な値動きに対して慎重な対応をしたい人

トレンド転換や急変動に備えたい場面で、一時的な両建てを有効に使える判断力を持っている人。

向いていない人
①損切りが苦手で「逃げ」の両建てを多用してしまう人

両建てを使えば一時的に損失は止まりますが、根本的な解決にならず損失を先延ばしするだけになることが多いです。

②建玉管理が苦手な初心者

ポジションが増えることで全体の状況が把握できなくなり、逆にリスクを高めてしまう傾向があります。

③取引の意図や計画が曖昧な人

明確な理由がないまま「なんとなく不安だから」という理由で両建てを行うと、判断がぶれやすくなり損切りのタイミングを逃しやすくなります。

④スワップポイントや手数料を意識しない人

両建てはスプレッドが2倍かかり、スワップ差も考慮が必要なため、コスト無視での運用は不利です。

このように、両建ては「リスクを理解し、あくまで戦略的に使える人」にとっては有用ですが、「判断の迷いを隠すため」に使うと逆効果になりやすいという特性があります。

まとめ|XMで両建てを活用するために大切なこと

XMでは、数ある海外FX業者の中でも珍しく、同一口座内での両建てを公式に認めているという大きな特徴があります。この自由度の高さは、経験豊富なトレーダーにとっては非常にありがたいものです。

しかし一方で、複数口座を使った両建てやボーナスを悪用する建玉など、明確に禁止されている行為も存在し、それらに違反すればアカウント凍結や利益取消など、非常に重いペナルティを受けるリスクもあることを忘れてはいけません。

両建ては「万能の技」ではなく、使い方を間違えれば逆にリスクを拡大させる手法でもあります。だからこそ、

  • ルールを正しく理解したうえで、
  • 明確な目的と判断基準を持ち、
  • 一時的なリスクヘッジや調整のために活用する

といった姿勢が求められます。

特に初心者のうちは「とりあえず両建て」は避け、まずは最小ロット・短期での試行から始め、自分のスタイルに合うかどうかを検証していくことが大切です。

最後にもう一度強調しておきますが、XMは「両建てに寛容な業者」ではありますが、それはあくまでルールを守っていることが大前提です。賢く使いこなせば、大きな武器になります。ぜひ慎重に、そして戦略的に活用してみてください。